ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

御品書き

このブログは刀剣乱舞および文豪とアルケミストの二次創作小説を置いています。 設定についてはそれぞれ独自設定がありますので注意。 話の流れに関してはだいたいゲームのプレイ状況をもとに書いておりますので、キャラの登場順、イベントの状況などはそれ…

兄弟 ~虎鉄~

「あーあ、今日も兄ちゃんたちを仲良くしてもらおうとしたけどだめだったよ」 部屋の中央に置かれた座卓の上に浦島虎鉄は倒れ込むように突っ伏した。隣に座っていた物吉貞宗が心配そうに彼を眺める。 顕現した刀の数が多くなったこの本丸では大広間だけでは…

食事 ~徳永・中野・小林~

「うまかー。こぎゃんうまか唐揚げ食べたことなか!」 ほどよくきつね色に揚がった大ぶりの唐揚げを大きな口を開けて頬張った徳永直は満面の笑顔でそのうまさを顔全体でしめしていた。 一個食べる食べに感嘆の声を上げる徳永とは反対に、食事中は食べること…

修行 ~後藤藤四郎~

「薬研、こっち来て俺と一緒に立ってくれよ」 大きなせんべいを口にくわえていた薬研が振り向くと、緊張した面持ちでなぜか神妙な顔をしてこちらを見下ろしている後藤と視線が合った。 いつも騒々しい奴が珍しくおとなしくしている。何でそんな真面目な顔を…

狩り ~兎捕獲部隊~

「つまりうさぎとやらを力づくで捕獲して団子を奪えばいいんだな。それだけだな」 剣呑に目を細めた山姥切国広は主に強い口調で確認する。正座した膝の上に拳を握りしめている彼の目元にはどことなく疲れが残っていた。戦力拡充の出陣が続いていたため、昨日…

月の宴 ~歌仙兼定~

朝餉の片づけが終わったころ、主から部屋に来てほしいと伝言を伝えられた。 この僕に来てほしいというとどのような用件だろう。庭から流れ込む風が肌に幾分涼しくなってきたから、夏の薄い着物を片付けるのを手伝ってほしいということだろうか。それとも主の…

鍛刀 ~厚・山姥切~

俺は厚藤四郎。 粟田口の短刀で歴代の主はけっこう有名らしくて、俺自身もいろんな家を渡り歩いてたんだ。 今の主のところに来てから人間みたいになっちまったけど、これはこれでおもしろいからいいや。それにこの本丸には俺と同じように人の器をもらったた…

秘宝の里 ~獅子王~

「これで終わりっと。玉はちゃんと残さず拾ったか?」 敵の血が付いた刀を一振りすると赤い粒子が宙に散った。敵の姿が消えるとともに、刃を赤く染めていた敵の血もまるでなかったかのように消える。銀色の輝きを取り戻した刀を高く掲げて再び鞘に収めた。 …

秘宝の里 ~膝丸~

「いつまでおちこんでいるんですか」 本丸の鳥居から秘宝の里に移動してもまだ沈んでいる膝丸に今剣は檄を飛ばす。 周りを隔絶させる深い霧が二人の周りを取り囲む。ここに一緒に飛んできた部隊の者たちの顔も少し離れると濃霧の向こうに隠れてぼんやりとし…

怪談 ~織田・太宰~

『・・・するとその時でした。手にしていたろうそくの明かりがふうっと消えたのデス。風もなく、物音もなく、すうっと・・・』 明かりを消して真っ暗になった室内はしんと静まり返っている。皆の注目を集めながらろうそくの明かり一つをその横顔に照らしなが…

秘宝の里 ~髭切~

「ふうん、それは僕が隊長をやるってこと?」 先ほど引いたくじの細長いこよりを指先でもてあそびながら、髭切は目の前に座る小柄な人間の少年に問いかけた。髭切の引いたくじの先にある数は肆、つまり四番目となる。 彼はこの本丸に集う刀の付喪神たちを人…

秘宝の里 ~山伏国広~

「まったく、鶴丸殿には驚かされてばかりです」 これで幾度目の溜息か、一期一振は傍らを歩く鶴丸国永に苦言を申し立てた。 本丸に帰投した鶴丸たちの部隊は主への報告のために長い廊下を連れ立って歩いていた。中央の表の建物を抜け、審神者の部屋のある一…

秘宝の里 ~江雪左文字~

「どうしました、お小夜。浮かない顔をして」 心配そうな声にふと顔を上げる。 戦装束を着込んで出陣の時を部屋で座って待っていた小夜はやって来た兄弟の宗三左文字を見上げた。 「宗三兄様。いえ、なんでもありません」 「なんでもなくはないでしょう。そ…

秘宝の里 ~鶴丸国永~

「引け、鶴丸国永」 有無言わさぬ強い声音と共に突き出されたそれを、鶴丸国永は何事かとじっと見つめる。きつく握りしめられた拳から突き出した一本の白いこより。何の意味がある、これは何かの罠か、それとも驚きへの招待状か。 だがそれを持っているのが…

新入り ~ソハヤ・村正~

「江戸城で発見した千子村正だが、奴の教育係は貴様に頼むぞ。ソハヤノツルキ」 出陣から戻るなり主の部屋へ呼ばれたソハヤはへし切長谷部にそう告げられた。 長谷部の文句を許さぬ厳しい口調は相変わらずだ。 堅苦しくないのかねといつも思うが、いつもそば…

修行 ~加州・堀川~

とある部屋と廊下を仕切る障子を半分くらい引きあけて、加州はひょいっと中を覗き込んだ。 部屋の中は無駄なものもなく、きちんと片づけられているのはおそらくこの部屋の持ち主がきれいに整えているからだろう。こちらを背にしてじっと部屋の奥の襖を見つめ…

酒宴 ~初期刀組~ =刀と主と=

夕餉の後、お決まりのように始まったにぎやかな酒盛りに加わる気がおきなかった加州は楽しげに酒をかわしあう新撰組の仲間たちを置いてそっと食堂の広間を後にした。 本丸で最も大きな表の建物の中に食堂がある。この建物は作戦会議室や刀装などを作る作業場…

月は猫と遊びて

注】いつもの本丸とは別設定の通称紅本丸の話です。 初期刀は歌仙兼定で、三日月宗近が初期に顕現しています。 先ほどまで淡い色合いの雲の隙間からわずかな光をこぼれ落していた空も、今見上げればどんよりとした雲が垂れ込めて重く黒い色に変わっていた 突…

想起 =刀と主と=

遥か昔の時代の戦場へ行くことのできる本丸の鳥居の前で、主のまだ少年特有の高い声が初めはか細くあったのが次第に力強く響いていく。これから新たな任務へ出陣する部隊を前に指令を申し渡していた。 「この度の任務は政府が作成した疑似戦場の仮想空間にお…

喫茶店 ~堀・織田・永井~

「カフェいうのはこないなおしゃれなところやったんやなあ。お客はんもどことのう気取ってるっていうか、いかにも文化人とかいいそうなやつらばっかや」 店の片隅にある席についた織田作之助はきょろきょろと遠慮なく店の中を見渡しながら、装飾やテーブルに…

秘宝の里 ~隊長 鶯丸~

「これから出陣でしょうか、鶯丸様」 支度を済ませ自室を出ようとしたところで声をかけられた。 眼下で耳のあたりで切りそろえた茶色の髪が動きにつれて揺れる。粟田口が一振り、平野藤四郎がめずらしく戦装束に身を包んだ鶯丸の姿を目にしたためか、丸くし…

秘宝の里 ~隊長 一期一振~

「今回私たちの出陣が遅れたことについて燭台切殿から直接謝罪の言葉をいただきました。ですから彼を責めてはいけませんよ」 一期一振は弟たちを前にして神妙に告げた。彼らもまた尊敬する長兄の言葉を真面目に聞いている。 その中で前列に足を崩して座って…

夕暮れ ~来派~

太古より重く静謐な空気に守られていたはずの聖域が揺れた。 神社の閉ざされた沈黙を破る不穏な気配を感じて、己の本体のかたわらでいつ目を覚ますともなく微睡んでいた蛍丸は夢の淵より舞い戻った。いまだ夢を漂ううつろな目をこすりながら、穏やかなこの地…

秘宝の里 ~隊長 小狐丸~

「おー、すげえな五虎退。懐入り込んで一撃か。機動速くなけりゃ出来ねえ技だよな」 敵に止めを突き刺した太刀を引き抜いて獅子王は感嘆の声を上げた。 襲ってきた槍の部隊はすべて地に倒れ伏せさせた。この程度の強さならば高速で攻撃を仕掛けてくる槍とて…

野宴 ~次郎太刀~

「酒はのめのめ~、飲まれるなぁ~っと」 なみなみと酒を注いだ黒塗りの升を手に太郎太刀は上機嫌で声を張り上げた。張りのある歌声が広々とした野に響き渡る。緑の草が萌えはじめた春の野は穏やかな日の光があたりに優しく降りそそぐ。暑くもなく、寒くもな…

秘宝の里 ~隊長 明石国行~

「なんで長谷部はんが自分の隊に入りますのや。面倒ですなあ」 審神者の部屋に呼び出された明石国行は事の次第を聞いて明らかに不満げな言葉を漏らした。それを聞いた瞬間、目の前で座っていた長谷部の額にくっきりと青筋が浮かんだ。 「だまれ、隊長の貴様…

秘宝の里 ~隊長 燭台切光忠~

「そういうわけで僕が隊長になって秘宝の里に出陣することになったから、しばらく厨房の仕切りは頼めるかい? 歌仙君にばかり負担をかけるようになってしまうけど、帰ってきたら僕も手伝いくらいならできるから」 朝食用の味噌汁をかきまぜながら燭台切は申…

秘宝の里 ~隊長 三日月宗近~

「はて、この箱はなんだ?」 どこからどう見ても何の変哲もない箱である。上に丸く穴があけられているほかは外に何も書かれていない。頭をくぐらせて下まで覗いてみたが、そこにまた穴があるわけでもない。 それともこの穴の中に何やら罠が仕掛けられている…

蛍狩り ~蛍丸~

夜闇の中に淡い黄緑色の光が舞う。 強く、弱く、見る者を水面のほとりへ誘うかのように。幻の光は手招いて、目を見開けばそこは幽玄の里。 見慣れたその景色はたとえ夜でも見間違えることはない。 本丸の鳥居を抜けて、舞い降りて目に飛び込んできたその光景…

遊びをせんとや ~鶴丸国永~

現世はまこと面白き。 遥か昔に聞きし懐かしきその調べを知らず知らずのうちに口ずさむ。 ――遊びをせんとや生まれけむ 審神者の力により本丸にこの身が刀より生じてから、人の身であるのは刀生にしてほんの瞬きに過ぎない。だが、館の奥深く、時には陽の光の…