ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

2017-01-16から1日間の記事一覧

登山 ~国広兄弟~

岩の頂上に手をかけた。からりと小さな小石がすぐ横を落ちていく。 零れ落ちた石は乾いた音を響かせながら、やがて崖の下へと見えなくなった。 石を追っていた目線を再び上に向けた。登って行く先に一応足場はある。だが広くはない。少しでも足を踏み外せば…

潜書 ~太宰・志賀~

「芥川先生、どこにいるんだよ。見つからないのは愛か、俺の先生への情熱が足りないからなのか・・・」 潜りこんだ書籍の仮想空間から図書館の現実へと戻ってきた太宰はどんよりと顔を暗くしてうつむいた。 本の中へ潜るのは思った以上に精神力を消費する。…

就任二周年 ~本丸~

「・・・黒という色は確かに現代の世にあって正装を意味するものかもしれないけれど、やはり無粋だね。皆がかしこまって同じ色というのは実に面白味がないよ。雅ではないな」 つらつらと文句を言いつつも歌仙は手慣れたしぐさで主の帯を締めた。体にぴったり…