ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

創作審神者

秘宝の里 ~隊長 長曽祢虎鉄~

「最近退屈すぎるよね。俺たちずーっと本丸にいるし。道場の手合いも飽きたし、そろそろ外にでも出陣して敵の首落としたいんだけど」 部屋でごろごろしていた大和守安定が急に真顔になって物騒な言葉を言い放った。だが同じ部屋にいる新撰組の面々は一瞬彼に…

観察 ~太鼓鐘貞宗~

俺は太鼓鐘貞宗。この本丸で今のところ最も新しく来た刀だ。 ここにはたくさんの刀たちがいる。みっちゃんや加羅ちゃん、つるさんとか俺の知っている伊達の刀だけじゃなくて、他家のあったことのない名刀や、千年も長く存在するとんでもなく古い刀もいる。天…

秘宝の里 ~隊長 山姥切国広~

「今日、和泉守の楽器がそろったそうだよ。これで現時点で全員分の近侍曲を受け取ることができますね」 小さな背丈を大きく見せるかのように、背筋を伸ばして正座をしている主は最近落ち着いて凛とした雰囲気をまとうようになっている。それはただ姿勢がいい…

御神力 ~石切丸~

紙垂が大きく左右に振れながら幣が払われる。室内にしつらえられた白木の神棚に向かって石切丸は厳かに祝詞を唱え、深く一礼した。 そして正座したまま手を使って静かに後ろに向き直る。 「主、審神者としての修行の成果はいかがですか?」 両掌を胸のあたり…

顕現 ~数珠丸~

「切国、みんなは・・・」 手入れ部屋の前で立っていると、息を切らして主が廊下の向こうから現れた。そういえば主がついてくるのを待たずに外へ飛び出したのをいまさらながらに思い出す。 打刀の中でも機動の早い山姥切に、人間の、しかも体力などかけらも…

就任二周年 ~本丸~

「・・・黒という色は確かに現代の世にあって正装を意味するものかもしれないけれど、やはり無粋だね。皆がかしこまって同じ色というのは実に面白味がないよ。雅ではないな」 つらつらと文句を言いつつも歌仙は手慣れたしぐさで主の帯を締めた。体にぴったり…

写しの刀 ~後日談~

帰ってくるなり戦塵まみれた戦装束を解きもせず、一目散に審神者の部屋へ突撃してきた山姥切はあきらかに怒っていた。 乱暴に廊下から障子を引きあけると、何事かとびっくりしている主の顔面に膝をついて身を乗り出した。 「・・・あんたは全部知ってて俺を…

正月 ~宴~

「あけましておめでとうございます。この本丸も新しい仲間が増えてにぎやかになったこと大変うれしく思っています」 上座に座った主が正月の祝いの席でのあいさつを述べる。華奢な身体を背筋正しく伸ばすことで、昨年にはなかった威厳がにじみ出ているようだ…

連隊戦 ~監視~

画面の向こうでは第一部隊が無事に最後の敵を切り倒した光景が映し出されていた。 高速槍が襲ってくるこの局面ではいかに頑丈な刀装を装備してもそれをすり抜けて、直接本体へ仕掛けてくる攻撃をしのげるかにかかっていた。彼らが受けたのは一撃くらいで、そ…

主と刀と ~加州清光~

「あるじー、ちょっといいかな」 廊下から襖を開けて現れたのは加州清光だった。 「いいよ。どうしたの?」 座布団に座ってお茶を飲んでいた主はこころよく加州を部屋に呼び入れた。嬉しそうな顔をして彼は主の前に座った。 「明日、審神者の集まりに行くん…

聖夜 ~贈り物~

「で、みんな集めて何の話だ?」 片膝を立てて豪快に座る薬研が粟田口の部屋に集まる短刀たちを見回して尋ねた。大きく欠伸した彼はまた昨夜の織田の集まりに遅くまで参加していたらしい。 いまだ残る酒に眠そうな目をこすりながら、真っ先に勢いよく手を上…

閑話休題 ~花丸~

「おい、あんたさっきから何を探しているんだ」 熱い茶の入った湯呑の乗った盆を持って立ったまま、怪訝なまなざしで主を見下ろした。 うららかな陽が差し込む審神者の部屋の縁側は、天気のいい日は主の座る定位置になっている。今日も気に入りの座布団をそ…

主と刀と ~へし切長谷部~

口元に手を当てて喉を鳴らす。乾いた咳が嫌な感じに部屋に鳴り響いた。 この季節はすぐ体調を崩す。この本丸に来たばかりよりは幾分よくなっているとはいえ、少し風邪をこじらせればなかなかよくはならない。 一向に良くならないのどの調子をなだめようと、…

主と刀と ~山姥切国広~

日当たりのよい縁側の廊下をゆっくりと目的の場所に向けて歩いていた。いつもは誰かとすれ違う廊下だが、今日は不思議と誰とも会わない。 冬の季節とはいえ、風がなく日が当たれば昼間は外に座っていても程よく体が温まる天気だ。こんな日はきっと一日を過ご…