ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

秘宝の里 ~隊長 宗三左文字~

「小夜と一緒に出陣できないとはどういうことですか!」

 近侍の仕事部屋を訪れた宗三左文字は山姥切に抗議の声をあげた。だが彼は自身に向けられた非難にも顔色一つ変えず、ただ静かに見返す。

「小夜左文字は第三陣で出陣した長谷部の部隊に入っている。今回の秘宝の里の出陣のルールはただ一つ。大太刀を例外として、一度出陣した者は再度編成できない。他の者の出陣機会を奪ってしまうからだ」

 かみつきそうなくらい睨み付けられていても、山姥切は気圧されることなく毅然と言い返した。

「これは主からの主命だ。曲げるわけにはいかない」

 なおも納得がいかないと何か言おうとした宗三の肩にそっと後ろから手が添えられた。

「そのくらいにしなさい。定められた物事に逆らうことはよくありません」

「ですが兄様!」

「我らのためを思って主殿が決めたことです。これ以上我々がわがままを言うべきではありませんよ。山姥切殿も忙しいところ申し訳ありませんでした」

「いや、俺は別に気にしないが・・・」

 兄に促されて宗三もしぶしぶ矛先を収める。

「つまり元凶はあの長谷部ということですね。わかりました、帰ったらただではおきませんからね、覚えていらっしゃい」

 

 

「で、宗三はそれでずっと怒っているわけか」

 豪快に胡坐をかきながら顎に手を当てて薬研はにやりと笑った。

「長谷部の旦那に大事な弟をとられたら、そりゃあ頭に来るわなあ」

「あの男、織田の刀でもあるくせにこちらの者は自分の部隊に入れないと意地を張ったようなんですよ。まったく、信長公嫌いにもほどがあります」

「ま、旦那のあれは好きと嫌いの裏返しってとこだからな。直臣でもないものに下げ渡されたこと結構根に持ってんだよ。こだわっているってことはまんざらでもないってことわかってねえんだからなあ」

 大きな声で笑う薬研を宗三はぶすっとした顔で見つめている。

「だからといって小夜を連れて行っていい理由にはなりません」

「そんな顔していると美人が台無しだぜ。小夜と一緒に出陣したいならまた今度大将に直訴すればいいじゃねえか。それでここの部隊はどうするんだ。宗三と江雪に、あと俺か。大太刀二振り入れてあと一枠あいているな」

 指を折々数えながら薬研は首をかしげた。ちらっと後ろを見やると、びくっと不動が肩を震わせた。

「お、おれは無理だからな! 爆弾が破裂するとか、毒矢が飛んでくるとかそんな怖いとこ行けるわけねえだろ! 練度だってまだ低いんだからな!」

 毛を逆立てた猫のように肩を怒らせて怒鳴り散らす。

「誰もお前に来いって言ってないぜ。ま、ゆきちゃんが行きたいっていうんなら別だぜ。いやだって言っているのは俺たちがみんな行っちまうと淋しいからだろ」

「誰が淋しいなんて言った! それとゆきちゃん言うな!」

 じゃれ合う短刀たちを見つめながら、宗三は深くため息をついた。

「ああ、やはり小夜が恋しいです・・・」

 

 うっかり考えなしに長谷部のところに小夜を入れてしまったせいで、別部隊になってしまった左文字の兄弟です。あとで宗三は長谷部と一戦交えるんだろうなあ。

 うちの織田組はなかよし。薬研と不動はわりといつも一緒にいます。長谷部は忙しいから別かな。酒宴になると必ず来るけど。

 この部隊になるとなかなか楽器出なくて苦戦したなあ。

 

近侍曲 宗三左文字  二〇一七年二月十二日獲得

 二〇一七年新春秘宝の里 第四陣

  隊長 宗三左文字

     江雪左文字

     一期一振

     薬研藤四郎

     石切丸

     次郎太刀

出撃回数60回  笛6個  琴3個  三味線1個

 

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