ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

秘宝の里 ~隊長 和泉守兼定~

 障子を開け放つと和泉守は元気よく叫んだ。

「長曽祢さんよ、俺たちと出陣しねえか・・・って、おめえら!」

 部屋の真ん中で両腕に加州と大和守をぶら下げて座り込んでいる長曽祢が申し訳なさそうに手を挙げた。

「すまんな、先約が入っちまった」

「遅いよー、和泉守。僕が先にとっちゃったもんね」

 にっこり笑いながら大和守が大胆不敵に見せつけるようにさらに長曽根の腕にしがみつく。

 反対側の加州も彼の背後に視線を流しながらさらっとつぶやく。

「そうそう、長曽根さんは僕たち沖田組と一緒に行くんだからね。兼さんは堀川がいるからいいでしょ」

「てめえら、先取りしやがって」

「おまえら、くだらないことで喧嘩するな。まったくいい加減にしないか・・・」

 長曽祢は額に手を当てたままうつむいて深くため息をついた。

 

 

「そっか、長曽根さんは加州達と一緒に行くんだね。それで兼さん、どうするの?」

 空欄の残る部隊編成表を眺めながら、堀川はいつになく難しい顔をした相方を見上げるように見つめた。

「俺たちは最後だからめぼしい奴はあまり残ってねえよ。お前のところの兄弟からはなるべく練度の低い奴を連れて行くようにいわれてるけどなあ・・・」

「困ったね。僕たちは練度が最高値まで行ってしまったから、練度上げ中の誰かを入れないと。それとも兼さん、僕を外す?」

「・・・ばっ、何言ってんだ、国広!」

 驚いて膝立ちした和泉守が堀川の肩をがしっと力強くつかんだ。

「ちょ、痛いよ、兼さん」

 そのつかんだあまりの強さに堀川は片目を軽くつぶる。だが和泉守は怖いくらいの表情で至近距離から彼を睨み付けた。

「いいか、冗談でもそんなこというんじゃねえ。俺の相棒はお前だけだ、国広。ここにいる限り俺はおまえと離れたりしねえ。だから、外すなんてそんなこと俺が・・・」

 ぐしゃっと顔をゆがませた和泉守はみっともない表情を見せたくなくて、堀川の肩に顔をうずめた。

 しばらくそのままぼんやりしていた堀川だったが、そっと和泉守の長いつややかな髪を撫でた。

「ごめんね、兼さん。僕は和泉守兼定の相棒だから、兼さんと一緒だったからここに顕現したってわかってるから。だからもうそんなこと言わないよ」

 静かに瞼を閉じたその脳裏に一瞬ちらついた残像。

 そばにいなければ、ここで兄弟たちとも会えなかった。だから感謝してもしきれない。和泉守兼定の相棒という自分の存在以外の可能性を教えてもらえたことに。

 だから離れない。離れるわけにはいかない。

 僕たちは二振りでひとつなのだから・・・。僕に向けられるその言葉、その愛情を疑ったことなんてない。

(大好きだよ、兼さん)

 思いをかみしめて堀川もまた自分の相棒の肩に顔をうずめた。

 

 長曽根さんを巡って沖田組と喧嘩するだけを書きたかったんだけど。うちの堀川君いろいろ闇が深そうだなあ・・・。

 それで結局足りないなって悩んでいたら、兼さんの保護者の歌仙が無理やり入ってくるという。

 堀川と山伏が一緒に出陣して本丸に取り残される山姥切がさみしそうにするのはまた別の話。

 それにしても兼さんの必要な楽器の数を見て驚いた。レア3打刀でこれなら、レア5の太刀連中はどれだけ必要になるんだ?

 

 

近侍曲 和泉守兼定  二〇一七年二月十八日獲得

 二〇一七年新春秘宝の里 第五陣

  隊長 和泉守兼定

     堀川国広

     山伏国広

     歌仙兼定

     蛍丸

     太郎太刀

出撃回数70回  笛9個  琴4個  三味線2個

 

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