ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

蛍狩り ~蛍丸~

 夜闇の中に淡い黄緑色の光が舞う。

 強く、弱く、見る者を水面のほとりへ誘うかのように。幻の光は手招いて、目を見開けばそこは幽玄の里。

 見慣れたその景色はたとえ夜でも見間違えることはない。

 本丸の鳥居を抜けて、舞い降りて目に飛び込んできたその光景は蛍丸にとって懐かしくも哀しい思い出を抱かせるもう戻れないと思っていた彼の故郷であった。

 闇の暗がりの中に蛍のおぼろげな光に浮かび上がる黒い山影。四方を山に囲まれて、足元には青々とした草が茂る。

 一匹の蛍が群れを離れてこちらへ漂ってくる。ふわりふわりと浮かびながら、そっと蛍丸の掌に乗った。

「俺はまだ傷ついてないって」

 身体はどこも怪我をしていない。だが蛍が寄って来たのはそうではないのだ。

 そっと蛍丸は胸を抑える。

 戻れると思っていたこの場所に降り立って軋んだこの心。

「大丈夫、俺は」

 蛍の乗った手を星の光瞬く空へ掲げた。

「みんながいる。あそこで国俊にも、国行にも会うことができたし。それに今の俺には大事にしてくれる主さんがいるからさ。だから・・・」

 今までこの地の人たちが蛍丸である俺を愛してくれたように、新しく神社の守りとして生まれたもう一振りの俺をどうか愛して欲しい。

 手から離れた蛍が空を飛ぶ。空の星と見まがうかのように。

 口元が微笑む。

 だから今の俺の役目は。

 右足を軸に、左足を大きく開く。身体よりも長い刀身をその小さな背に背負った鞘から引き抜いた。

 蛍の淡い光に照らされて浮かび上がる刃は刃こぼれなど一つもなく、磨き上げられている。生ぶでこの世に生み出されたその姿のまま。

 切っ先を下に柄を高く掲げ両の手で握った。いかなる数の敵だろうともこの一振りの力に耐えられるものなどいない。

 戦意は高ぶったまま、なんだか気持ちがいい。蛍丸は目を光らせて闇の中に潜む獲物を眺め渡した。手にした刀をさらに強く握りしめる。

「みんないくよー。準備はいい?」

 前方に視線を向けたまま、蛍丸は背後の闇に隠れていた仲間たちに声をかけた。

 心強い強い気を背に感じながら、少しずつ間合いを詰めてゆく。

 敵部隊をすべて戦い抜くのが蛍丸たちの役目。

 大丈夫だよ、主さん。ぜんぜん平気、負ける気なんてしないよ。

「んじゃ、派手に戦いますかっとぉ!」

 

 

 連隊戦初夏の陣、通称蛍集め。

 本丸でも練度の高めの極の短刀たちと蛍丸のおかげで一部隊で乱モードの敵をすべてたおせました。

 前回はいくつかの部隊で分けていたので結構強くなった。

 集めた蛍は本丸の庭で一時保管していましたが、あまりにも数が多く、風流などどこへやらと歌仙を嘆かせてました。

 もうすぐ蛍丸復元刀の奉納式。つつがなく無事終わりますように。

 

2017年 連隊戦 初夏の陣

 第二部隊 隊長 蛍丸(蛍捕獲部隊)

      薬研藤四郎

      厚藤四郎

      五虎退

      小夜左文字

      愛染国俊

 

  最終採集数   蛍 130189匹

 

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