ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

連隊戦 ~隊員交代~

「第一部隊は陸奥守吉行、および骨喰藤四郎が練度最高値到達により、部隊から離脱。補充として蜂須賀虎鉄、および浦島虎鉄が編入される」

 部隊配置の指示書をめくりながら、第一部隊を前に山姥切が新たな部隊編成を通達する。

 新たに第一部隊として呼ばれた浦島が飛び上がりながら兄の蜂須賀に駆け寄った。

「うわーい、兄ちゃんと出陣だ。一緒になるのは久しぶりだよね」

「ああ、そうだな。兄として恥じぬよう立派に務めを果たして見せよう」

 いつもよりもさらに輝きを増した鎧がその気合の入りようを物語っている。蜂須賀はこぶしを握りかためて、固く誓った。

「あの贋作に劣っているなど、真作の名にかけて許せないからな」

「もー、兄ちゃんったら・・・」

 鳥居の門の中の空間がゆがむ。連隊戦への舞台への道が開かれた。

「人員も代わって、慣れないところがあるかもしれない。各々無理はするな。危なくなったらすぐさま後続に交代しろ。それと主から必ず皆でそろって帰ってくるようにとの伝言だ」

 最初にはねるように飛び込んだのは現在一番隊隊長を務める今剣。

「りょうかいでーす。あるじさんにぼくにまかせてくださいとつたえてください」

「わかってる、大丈夫だから」

「じゃ、元気に祭りに行ってくるぜ」

「主様に必ず吉報を」

 極となった短刀たちに続いて、虎鉄の兄弟も鳥居の中へ姿を消した。

「ほんに、そうぞうしいやっちゃのう」

「あんたの時もあんなものだったぞ」

 他人事のように笑う陸奥守を山姥切は呆れたようにたしなめた。

 彼らの姿が見えなくなるともとの姿に戻った鳥居を見ていた陸奥守は自分の手に視線を落とし、不思議そうにこぶしを開いたり閉じたりしていた。

「何をしている?」

「いやあ、練度がかんすというやつになったっていうちょるから、どないなもんかと思っておったが、なーんもかわらんの」

「・・・いや、極修行と違って姿かたちがかわるものではないからな。多少戦闘能力が上がるくらいだ」

 この本丸で最初に練度が最高値に達した山姥切が何を言い出すんだと言いたげに胡乱な目を向けている。

 しかし陸奥守はつまらんのーと言いながら手を空にかざした。

「極修行っちゅうもんはわしらはまだ先になるんじゃろ? 先に行くのは残った短刀の子たちか脇差じゃろうからな。強くなれるならはようわしらも行ってみたいとは思わんかの?」

 にっと笑って山姥切に同意を求めたが、なぜか彼の表情は硬い。

「あんたはそうだろうが・・・俺は別に・・・」

 うつむいて顔を隠す山姥切の背を陸奥守はいきなり強く叩いた。

「・・・な、なにするんだ!」

「きっと恐れるもんじゃなきに。極修行へ行ってきた短刀の子たちも言っとっちゃろ。過去に戻って己の何かに向き合うのじゃと。みんな何かをつかみ取って戻ってきたじゃろ。わしらもきっとそうじゃきに」

 驚いて陸奥守を見上げていた山姥切だったが、目線を隠すように布で遮りながらふいっと目をそらした。

「あんたはよく根拠のないことをそんな明るく言えるもんだな」

「なにいっちょる。明るくしちょらな未来は見えん」

 しかしなーと言いながら陸奥守はさきほどから黙って聞いている骨喰に問いかけた。

「おんしの兄弟は兜をかぶっちょったり、ひらひらのすかーとっちゅうもんをつけたりしとっておるが、ああいったもんは自分らで新しい格好を選んどるのか?」

 「・・・いや、修行が終わって戻るときに気づいたら新しい服装になっていたと言っていた」

「ほう、不思議じゃの。もしわしらの願望が通るのであればこげんなもんではなく、もっとかわっちょるもんがええのう」

 いきなり何を言い出すのか、地面にしゃがみ込んだ陸奥守は器用に枝で絵を描き始めた。

「わしはの、新しいものが好きじゃきに。この銃も気に入っちょるが、幕末には連射式の機関銃というもんがあっての。こんなかっこがしてみたいがどうじゃろな」

 そう言ってさらさらと器用に自分の願望だという極の絵を描き上げた。

 覗き込むようにしてそれをみた山姥切の顔が引きつる。

「あんた、正気か?」

「なぜじゃ? 主のネットというところにこゆうかっこしちょる女の子がおったぜよ。わしと同じ陸奥っちゅう子よ。わしならもっと重装備できるじゃろからな。できるならめいっぱいつんでみとーぜよ」

「いや、肩や背中に大砲だ機関銃だとか山ほど背負って刀が振るえると思っているのか。これでは動くだけで精いっぱいだろ」

 襲ってくる頭痛を手で押さえながら、刀としての本懐はどこへ行ったとつぶやいている。

 隣でじっと黙っている骨喰は食い入るように陸奥守の絵に見入っていた。そしてぽつりとつぶやく。

「・・・いいと思う」

「お、わかる奴がおったぜよ」

「だが俺はこういうのだと重すぎて素早く動けなくて脇差としての利点がなくなってしまう」

 声が心なしか残念そうに小さくなる。それを聞いて山姥切が険しい顔で頷いた。

「・・・あたりまえだ」

「だからこういうものが欲しい」

 あまりこういったことに慣れていないのかたどたどしい絵が地面に描かれる。それでも陸奥守はその絵の意味することをくみ取った。

「ふむ、巨大化して一撃で敵をなぎ倒し、最終奥義は目から発する強力なびーむ光線じゃな?」

 確認を取るように聞き返す陸奥守に骨喰が真面目な顔をしてこくんと頷く。

「少なくとも前の主はこうだったそうだ」

「・・・ほお」

「まて、何の話だ。前の主とは秀吉公か? いったい誰から吹き込まれた!」

「大方鶴丸殿か、鯰尾あたりじゃろうなあ」

 察するに脇差部屋ではやっている某ゲームの秀吉公をあたかも実在したかのように吹き込んだのだろう。

 がしっと骨喰の肩をつかんで言い聞かせるように叫んだ。

「いいか、いくらなんでも人間が目から光線など出せるか。あれは作り話のことであって、実在した秀吉公ではない!」

「・・・記憶がないので何が違うのかわからない」

 骨喰の肩に手を乗せたままふるふると体を震わせると、突如顔をあげ冷ややかなまなざしを浮かべた。その身体の底から凍てつくような冷気すら漂っている。

「あのじじいを今日こそ絞めてくる。悪ふざけにしては冗談が過ぎた」

 その手はすでに腰に下げた刀の鯉口にかかっている。

「本丸内は抜刀禁止じゃろ、刀はあかんぜよ」

「わかっている。道場か本丸外に追い込んでそこで切る」

 冷静に言い放って山姥切は鶴丸を探しに駆け去って行った。

「怒るのもわからんじゃけど、まっことうちの本丸の山姥切は血の気の多いやっちゃのう。骨喰もそげんなほどしょんぼりするほどでもないきに」

「・・・目からビームはでないのか・・・」

 

 

 

 むっちゃんは艦これ、骨喰はBASARAです。お察しの通り。

 ゲームとかやってると多大な影響を受けそうだなと思いました。

 この本丸では普通にTV放送とかゲームやってます。脇差部屋ではいろいろなゲームがはやってるところです。

 普通に極修行について語るはずだったのに、なぜにこうなった。

 ちなみに虎鉄兄弟は比較的練度が低いので現在頑張って修行中。

 

 打刀 陸奥守吉行 練度最高値到達  二〇一七年一月四日

 脇差 骨喰藤四郎 練度最高値到達

 

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