ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

狩り ~兎捕獲部隊~

「つまりうさぎとやらを力づくで捕獲して団子を奪えばいいんだな。それだけだな」 剣呑に目を細めた山姥切国広は主に強い口調で確認する。正座した膝の上に拳を握りしめている彼の目元にはどことなく疲れが残っていた。戦力拡充の出陣が続いていたため、昨日…

月の宴 ~歌仙兼定~

朝餉の片づけが終わったころ、主から部屋に来てほしいと伝言を伝えられた。 この僕に来てほしいというとどのような用件だろう。庭から流れ込む風が肌に幾分涼しくなってきたから、夏の薄い着物を片付けるのを手伝ってほしいということだろうか。それとも主の…

鍛刀 ~厚・山姥切~

俺は厚藤四郎。 粟田口の短刀で歴代の主はけっこう有名らしくて、俺自身もいろんな家を渡り歩いてたんだ。 今の主のところに来てから人間みたいになっちまったけど、これはこれでおもしろいからいいや。それにこの本丸には俺と同じように人の器をもらったた…

秘宝の里 ~獅子王~

「これで終わりっと。玉はちゃんと残さず拾ったか?」 敵の血が付いた刀を一振りすると赤い粒子が宙に散った。敵の姿が消えるとともに、刃を赤く染めていた敵の血もまるでなかったかのように消える。銀色の輝きを取り戻した刀を高く掲げて再び鞘に収めた。 …

秘宝の里 ~膝丸~

「いつまでおちこんでいるんですか」 本丸の鳥居から秘宝の里に移動してもまだ沈んでいる膝丸に今剣は檄を飛ばす。 周りを隔絶させる深い霧が二人の周りを取り囲む。ここに一緒に飛んできた部隊の者たちの顔も少し離れると濃霧の向こうに隠れてぼんやりとし…

怪談 ~織田・太宰~

『・・・するとその時でした。手にしていたろうそくの明かりがふうっと消えたのデス。風もなく、物音もなく、すうっと・・・』 明かりを消して真っ暗になった室内はしんと静まり返っている。皆の注目を集めながらろうそくの明かり一つをその横顔に照らしなが…

秘宝の里 ~髭切~

「ふうん、それは僕が隊長をやるってこと?」 先ほど引いたくじの細長いこよりを指先でもてあそびながら、髭切は目の前に座る小柄な人間の少年に問いかけた。髭切の引いたくじの先にある数は肆、つまり四番目となる。 彼はこの本丸に集う刀の付喪神たちを人…

秘宝の里 ~山伏国広~

「まったく、鶴丸殿には驚かされてばかりです」 これで幾度目の溜息か、一期一振は傍らを歩く鶴丸国永に苦言を申し立てた。 本丸に帰投した鶴丸たちの部隊は主への報告のために長い廊下を連れ立って歩いていた。中央の表の建物を抜け、審神者の部屋のある一…