ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

仮装 ~謙信景光~

「わー、似合う似合う。かわいいよ!」 手を叩いて乱藤四郎が満面の笑顔で喜んだ。 頭につけられた小さな角のような飾りを触りながら謙信景光は戸惑っていた。背中にはコウモリの形に似た小さな黒い翼をつけ、身体の後ろには先が矢印のようになった尻尾まで…

側仕え ~巴形薙刀~

「なんだ、こいつは」 一目見るなりこちらへの敵意を全く隠さないその者は大股で近づくと、手をかけて乱暴に俺と主を引き離そうとした。 「なにをする。俺は主の傍に使えるのが役目だ。下がれ」 「それは俺の役目だ。貴様こそ離れろ」 邪魔だなと手にしてい…

素質 ~篭手切江~

「私は篭手切江。郷義弘の打った脇差です。これからよろしくお願いします」 両の手を脇にピシッと揃えて背筋を伸ばし、思いっきり前へ身体を折り曲げ最大限のお辞儀をした。あいどるはまず挨拶が大事だ。特に自分よりもこの本丸にいるという先輩たちにはまず…

兄弟 ~虎鉄~

「あーあ、今日も兄ちゃんたちを仲良くしてもらおうとしたけどだめだったよ」 部屋の中央に置かれた座卓の上に浦島虎鉄は倒れ込むように突っ伏した。隣に座っていた物吉貞宗が心配そうに彼を眺める。 顕現した刀の数が多くなったこの本丸では大広間だけでは…

食事 ~徳永・中野・小林~

「うまかー。こぎゃんうまか唐揚げ食べたことなか!」 ほどよくきつね色に揚がった大ぶりの唐揚げを大きな口を開けて頬張った徳永直は満面の笑顔でそのうまさを顔全体でしめしていた。 一個食べる食べに感嘆の声を上げる徳永とは反対に、食事中は食べること…

修行 ~後藤藤四郎~

「薬研、こっち来て俺と一緒に立ってくれよ」 大きなせんべいを口にくわえていた薬研が振り向くと、緊張した面持ちでなぜか神妙な顔をしてこちらを見下ろしている後藤と視線が合った。 いつも騒々しい奴が珍しくおとなしくしている。何でそんな真面目な顔を…