ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

出陣組 ~小夜・骨喰・和泉守~

乱戦の最中、鋭利な刃が脇をすり抜けた。早い。影を目で追って向いたときにはもう横を通り過ぎていた。 力任せに振り下ろされた刃を頭上で迎え撃っていた小夜左文字は駆けつけることもできず、ただ視線を向けるしかできなかった。 狙われたのはすでに先に放…

留守組 ~山姥切・三日月~

中庭に堂々とそびえたつ鳥居の内が淡い光を放ちながら歪んでゆく。 準備が整うまでその場にじっと居並んでいた者たちへ一際背の高い者が何やら声をかけたらしい。何を言っているかは遠くてここまでは届かない。だがその顔が戦場へと向かうために高揚している…

相棒 ~堀川・和泉守~

甲高く響いた弓音に堀川国広は顔を上げた。自分めがけて迫りくるおびただしい矢の群れが顔面に迫る。 出陣先の時代に降り立つとすぐに時間遡行軍に遭遇し、迷う暇などなくすぐさま戦闘態勢に入った。倒すべき相手を見定め直ちに矢や銃で相手を威嚇する。急所…

修行 ~大倶利伽羅~

わざわざ正面の玄関から出る必要もない。 出陣する部隊の出入りが激しい本丸の母屋の入り口は常に誰かがいるだろう。もし誰かと会えばあいつらは必ず何をしているのかと話しかけてくる。そうなったら面倒だ。 話しかけるなと睨みつけても最近は誰もひるまず…

主と刀と ~年の瀬~

※創作審神者出没。個人的見解有りなので苦手な方は回避を。 白く平らにならされた灰の上に組まれた黒い炭が細かな裂け目よりじんわりと赤い光をにじませる。音もなく密やかに燃え上がる炭の明かりはほのかな温かさで身体を照らしゆっくりと温めてくれた。 静…

江戸城 ~毛利・和泉守~

「元気ねえじゃねえか。もうへばったか? 疲れたんなら隊長は変わってやってもいいぜ」 にやっと笑って和泉守兼定が手をさし延ばしてきた。 その上から目線にむっとして毛利藤四郎は差し出された手から目を逸らした。地面に手を付けて自力で立ち上がる。顔を…

江戸城 ~蔵~

「また本丸の庭に妙なものが。これは・・・蔵なのか?」 本丸の正面の大きな庭に現れた見知らぬ建造物を呆然と眺めながら山姥切は呆れたようにつぶやいた。 入り口の重厚な鉄製の扉に大きな錠前をつけた巨大な蔵が四つ、いつの間にかそびえたっていたのだ。…