ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

依頼 ~三日月・山姥切~

雨の気配はもうすぐそこまで迫っている。 どんよりとした黒い雲の切れ目より時折姿をのぞかせるおぼろの月。恥らうようにわずかな姿だけを垣間見せながら、地に在るものには決して手の届かぬ空へと視線を誘う。 湿り気を帯びた大地。じんわりと立ち上る水の…

主と刀と ~手紙~

「主、いるか。悪いが急ぎでこの書類の決裁を頼む・・・!?」 審神者の部屋に踏み入れた山姥切は足裏に何かを踏みつけた感触を感じて、つい後ずさった。足元をよく見れば積み重なった紙が幾枚も畳の上に散乱している。 まだ墨も乾ききっていないその一枚を…

出立 ~歌仙兼定~

「長い旅になるとはいえ、あまり荷物を増やすのも雅ではないかな。お小夜にも荷物が多すぎると怒られたことだし」 顎に指先をかけて考え込んでいた歌仙兼定は、一旦は行李に入れかけた身のまわりの道具を一つ一つ手にして長考し吟味しながら丁寧にえり分けて…