ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

秘宝の里 ~江雪左文字~

「どうしました、お小夜。浮かない顔をして」 心配そうな声にふと顔を上げる。 戦装束を着込んで出陣の時を部屋で座って待っていた小夜はやって来た兄弟の宗三左文字を見上げた。 「宗三兄様。いえ、なんでもありません」 「なんでもなくはないでしょう。そ…

秘宝の里 ~鶴丸国永~

「引け、鶴丸国永」 有無言わさぬ強い声音と共に突き出されたそれを、鶴丸国永は何事かとじっと見つめる。きつく握りしめられた拳から突き出した一本の白いこより。何の意味がある、これは何かの罠か、それとも驚きへの招待状か。 だがそれを持っているのが…

新入り ~ソハヤ・村正~

「江戸城で発見した千子村正だが、奴の教育係は貴様に頼むぞ。ソハヤノツルキ」 出陣から戻るなり主の部屋へ呼ばれたソハヤはへし切長谷部にそう告げられた。 長谷部の文句を許さぬ厳しい口調は相変わらずだ。 堅苦しくないのかねといつも思うが、いつもそば…

修行 ~加州・堀川~

とある部屋と廊下を仕切る障子を半分くらい引きあけて、加州はひょいっと中を覗き込んだ。 部屋の中は無駄なものもなく、きちんと片づけられているのはおそらくこの部屋の持ち主がきれいに整えているからだろう。こちらを背にしてじっと部屋の奥の襖を見つめ…

酒宴 ~初期刀組~ =刀と主と=

夕餉の後、お決まりのように始まったにぎやかな酒盛りに加わる気がおきなかった加州は楽しげに酒をかわしあう新撰組の仲間たちを置いてそっと食堂の広間を後にした。 本丸で最も大きな表の建物の中に食堂がある。この建物は作戦会議室や刀装などを作る作業場…

月は猫と遊びて

注】いつもの本丸とは別設定の通称紅本丸の話です。 初期刀は歌仙兼定で、三日月宗近が初期に顕現しています。 ※ちょっと修正しました。 先ほどまで淡い色合いの雲の隙間からわずかな光をこぼれ落していた空も、今見上げればどんよりとした雲が垂れ込めて重…