ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

腐れ縁 ~中原・太宰~

「今度こそ芥川先生を連れて帰ってくる! 俺の力を見てろよ、志賀直哉!」 紅潮した顔で意気揚々と宣言した太宰の後ろで、志賀が腕を組んだまま冷めた目で眺めていた。 「おー、がんばれよー」 その口調もどこかおざなりだ。もう何日も芥川探しで潜書し続け…

記事 ~田山・島崎~

「何書いてんだ、藤村」 図書館のサロンの片隅にあるテーブルで何やら書き物をしている島崎藤村の肩口を田山花袋は覗き込んだ。 書き散らされてテーブルいっぱいに広げられた原稿用紙にはびっしりと文章で埋め尽くされていた。 「えー、なになに? 太宰君の…

秘宝の里 ~隊長 山姥切国広~

「今日、和泉守の楽器がそろったそうだよ。これで現時点で全員分の近侍曲を受け取ることができますね」 小さな背丈を大きく見せるかのように、背筋を伸ばして正座をしている主は最近落ち着いて凛とした雰囲気をまとうようになっている。それはただ姿勢がいい…

秘宝の里 ~隊長 和泉守兼定~

障子を開け放つと和泉守は元気よく叫んだ。 「長曽祢さんよ、俺たちと出陣しねえか・・・って、おめえら!」 部屋の真ん中で両腕に加州と大和守をぶら下げて座り込んでいる長曽祢が申し訳なさそうに手を挙げた。 「すまんな、先約が入っちまった」 「遅いよ…

秘宝の里 ~隊長 宗三左文字~

「小夜と一緒に出陣できないとはどういうことですか!」 近侍の仕事部屋を訪れた宗三左文字は山姥切に抗議の声をあげた。だが彼は自身に向けられた非難にも顔色一つ変えず、ただ静かに見返す。 「小夜左文字は第三陣で出陣した長谷部の部隊に入っている。今…

秘宝の里 ~隊長 へし切長谷部~

「我が隊は敵陣突破を最優先に編成を行う。ゆえにほかの奴らのように、情や好みによって人選をするなどもってのほかだ」 早々に宣言した長谷部は机の上に今までの戦績を記した帳面を積み重ね、ずっと熟考している。 机に向かったまま小一時間動こうとしない…

後味 ~山姥切・三日月~

三日月宗近という名を持つあの刀はよくわからない奴だと思う。 俺よりもはるかに長い時代を渡ってきた刀ゆえか、突然あちこちに飛んでゆく思考も全く理解できないし、次に何をするか単純な行動すら予想もつかない。 そもそもこの国の歴史にその名を残す名刀…

秘宝の里 ~隊長 大和守安定~

「さあ、誰と一緒に出陣しようかな」 「おまえねー、万屋に行くみたいに気軽に言ってんじゃないよ」 貸してもらった名簿を見ながら、大和守は顎に指を当てて暢気な声をあげた。隣にいた加州がすかさずそれを諌める。 「あそこは相当強い敵が出るって言ってた…

秘宝の里 ~順番~

「第一陣は前に伝えたとおり陸奥守が隊長で出陣する。それで次に出陣する順番だが該当する者達で話し合いを・・・」 説明している山姥切の言葉を思いっきり遮って、大和守が威勢よく手を挙げた。 「はいはいはい! 僕行きたい!」 立ち上がってアピールする…

御神力 ~石切丸~

紙垂が大きく左右に振れながら幣が払われる。室内にしつらえられた白木の神棚に向かって石切丸は厳かに祝詞を唱え、深く一礼した。 そして正座したまま手を使って静かに後ろに向き直る。 「主、審神者としての修行の成果はいかがですか?」 両掌を胸のあたり…

黒田組 ~へし切・日本号~

「よう、長谷部。相変わらず堅苦しそうなつらしてるな」 今日も気安げな日本号の言いざまに、長谷部は思わず顔をしかめる。無言で睨み付けているにもかかわらず、気づかないのか気づいていないふりをしているのか、日本号は日参して長谷部を酒に誘う。 「ま…

会派紹介 2017年2月4日時点

会派一 織田作之助 最初に選ばれた文豪。初代の司書の助手だったが、人が増えて面倒になってきたため、室生に押し付ける形で譲る。 生来のピンチの時でも楽天的な思考をできるゆえ、会派を盛り上げる。 徳田秋声 チュートリアルからなんだかんだで一番手に定…

學問ノススメ ~試験終了~

「やった! 最終試験合格だ!」 「・・・何十回目かもう数えるのも忘れたけどね」 「朔、それは言わない約束だろ」 頬を膨らませて怒る室生を北原は口元でかすかに笑う。 「君たちは本当に仲が良いね。性格も姿形も何もかも違うはずなのに、そうだな、魂の色…

秘宝の里 ~隊長 陸奥守吉行~

「待ちに待った出番ぜよー!」 喜び勇んで両腕を天に突き上げた陸奥守は目を輝かせて振り向いた。 「めんばーはわしが好きにきめてもええんじゃな?」 「ああ、最終まで確実に到達するために大太刀を二振り入れれば、あとは隊長権限で好きに決めてかまわない…