ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

秘宝の里 ~隊長 山姥切国広~

「今日、和泉守の楽器がそろったそうだよ。これで現時点で全員分の近侍曲を受け取ることができますね」

 小さな背丈を大きく見せるかのように、背筋を伸ばして正座をしている主は最近落ち着いて凛とした雰囲気をまとうようになっている。それはただ姿勢がいいとかそういう理由ではなく、審神者としての心構えが主の中で知らず知らずのうちにできてきているのだろう。

 まあ、少しでも気を抜けば、危なっかしいことには変わりないが。

 山姥切は手元の書面に目を落として報告を続けた。

「この本丸では必要とする楽器はそろったわけだが、まだ秘宝の里へ向かう手形が残っている。どうするんだ?」

「そうだね、これから先また新たな近侍曲がでてくるとなると、楽器はもっと必要だよね。手形があるなら、今練度上げしている刀でいってくるのもいいかも」

「わかった、なら編成はこちらで練度の足りない連中で組むようにするから・・・」

「編成は切国に任せるよ。でも隊長だけは私に決めさせて」

 思わぬ言葉に山姥切は目をあげて主を見つめた。

「ああ、かまわないが。誰にするんだ?」

 問いかけると主はにっこり微笑んで、すっと右手を宙に差し出した。伸ばした人差し指をまっすぐ向けたのは自分。

「俺か!?」

「そう、頑張ってね、切国」

 冗談ではないらしい。機嫌よく微笑んでいるこの顔だと、もう何を言ってもひるがえす気はないだろう。

 しばし不機嫌に主をにらんだ後、あきらめて視線を下にそらした。

「なんで俺なんだ。今の俺はもうこれ以上練度は上がらないぞ」

 他にもっとふさわしい奴がいるだろうと言外に意味を込めてつぶやくと、主はちょっと困ったように首をかしげた。

「年末年始で続いていた特別任務はこれが最後でしょう。そうしたら最後はうちの初期刀である総隊長がしめないとなあって思って。ダメかな?」

「またそんないい加減な理由で。・・・わかった、主命なんだな。ならば行くしかないだろ」

 また自分の仕事を長谷部に押し付けることになるから、かなり嫌味を言われるなと頭の片隅でぼんやりと考えながら、すぐに部隊編成のことに頭を切り替える。

「これからすぐに出陣してくる。俺のいない間のあんたの世話係は誰か代わりを頼んでおく」

「世話係ってそんなに信用ないですか」

「あたりまえだ。俺が帰るまでまた外をふらふら一人で出歩くなよ」

 立ち上がって出入り口へ足を向けたその背に、声が投げかけられた。

「切国、あなたに頼るばかりですみません。出陣を命じた私が言えることではないかもしれませんが、どうか無事に帰って来てください」

 顔を背中越しに向いて、ゆっくりと瞼を閉じた。自分の中に言い聞かせるかのように噛み締めてつぶやく。

「今の俺はあんたの刀だ。行けと言われればどのような戦場でも行く。それが俺がここにいる理由だからな。大丈夫だ。それにあんたの最初の願いはいつだって忘れてはいない」

 言うだけ言って山姥切は再び背を向けるとそのまま主の部屋を後にした。

 歩きながら主の言葉を反芻する。

「心配などしなくても折れたりはしない・・・俺は無事に皆を連れて帰ってくる。今回は秘宝の里だからそのような心配は無用だが、いや、油断してはいけないか」

 廊下を抜けて縁側へと出ると、枝ばかり見える庭が今日は暖かな日差しを受けて輝いていた。そばに張り出した梅の枝には小さな淡い桃色の蕾がついていた。

 長く続いた戦いが一区切りを迎えようとしている。当然、時間遡行軍との戦いはいまだ終わる気配は見せないが、それでも一つ何か重荷がなくなろうとしていた。

 その小さな蕾にしばし目を向けていた山姥切はふっと口元をほころばせて出陣の準備をするために布をひるがえして主の離れから歩み去った。

 

 年末から続いていた連続イベント、終了しました!

 そしてメンテ明けたら即博多くんのための大阪城攻略!

 しかし毎日朝と夕方の周回はけっこうきつかったなー。無事に必要なものはそろえられたのでよかったです。あとは外に出せるくらいのお話をかけるようになりたいなあ。

  

 

二〇一七年新春秘宝の里 殿軍

  隊長 山姥切国広

     浦島虎鉄

     山伏国広

     長曽祢虎鉄

     蛍丸

     次郎太刀

出撃回数24回  笛2個  琴2個  三味線0個

 

二〇一七年新春秘宝の里 最終入手数

 玉 139105個  笛32個 琴17個 三味線9個 

 

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