ゆめうつつ

刀剣乱舞・文豪とアルケミスト関連の二次小説。主にコメディ中心。

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

江戸城~村正探し~

「僕が隊長で本当にいいのかな」 何もない空き地を先頭に立って踏みしめた小夜左文字が足元を見ながらぽつりとつぶやいた。 進んだ先はまたはずれだ。選ぶ道は今日もどうも引きが悪い。昨日だって二回は江戸城の最奥まで到達できずに、本丸へと引き戻された…

秘宝の里 ~隊長 鳴狐~

縁側の廊下に音もなく一片の花びらが舞い落ちる。 見上げれば本丸の屋根に覆いかぶさるように枝を広げた桜の花が風に吹かれてその盛りを過ぎ去ろうとする花を散らしていた。 うららかな春の陽だまりの中で、いつもは肩に乗っている狐の眷属も廊下の上に丸く…

秘宝の里 ~隊長 大倶利伽羅~

縁側に座っていた大倶利伽羅の目の前にいきなり皿が差し出された。皿の上にはこぶしほどの白いまんじゅうが二つ乗っていた。 「加羅坊、今日のおやつを持ってきたぞ」 聞き飽きるほど聞いた軽快なその声に、大倶利伽羅の眉根が上がった。こんな風に自分へ親…

再会 ~芥川・菊池~

このほの暗い闇のほとりにどれくらい佇んでいることだろう。 いつもと同じように床に就き、眠れぬからといつもよりも多くの睡眠薬を服用した。 その夜の眠りはどこまでも深く、気づけばこの闇のほとりにただ一人立っていた。 誰もいないこの場はとても静かだ…

月見 ~不動・薬研~

暗い夜の空にぽつんと浮かぶ月はいつもよりも白く輝いて、手を伸ばせばもしかしたら届くんじゃないかって思うほど近くに見える。 でもそんなことはない。望むものがもう手に入らないのと同じで、どんなにほしいと願っても月に手が届くなんてことは絶対にない…

足利の地に生まれ出でし

【注】 刀剣乱舞に実装されていない刀が出ます。史実捏造注意。 暗き室の奥で赤々と燃え上がる焔が浮かび上がる。 その煌々と輝きながら燃え盛る炎の中へとうの昔に老境へとさしかかった男が真剣な面持ちで鉄の棒を差し入れていた。 炎の赤を瞳に映し、ただ…