2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧
星も輝かぬ闇夜に沈む巨大な城郭は息をひそめて静まり返っている。天に上る月もなく、あたりは深遠の闇に隠れていた。 この国を治めるこの城のまわりには普段ならば見回りの警備の武士や酔客目当ての屋台などがちらほら見かけるのだろうが、彼らのいるあたり…
「おや、これは腕が出てしまっているね」 正装用の着物を主の背にあてて具合を確かめていた歌仙兼定が少し驚いたようにつぶやいた。本日はしまっておいた主のめったに使わない礼装や外出の着物の状態を点検するにあわせて、居合わせていた主に試着してもらっ…
『その想いの名はまだ知らず』 ※ほんわか腐表現あります。 タイトル通りみかんばなので無理という方は回避してください。 暗くよどんだ雲から舞い落ちる雨はいまだ降りやまず、さらさらと落ちてゆく細かな音は心までも沈ませる。 この季節は嫌いだ。 なぜと…